泣いても笑っても本番まであと1日。
初参加の人も、常連の人も、それぞれ向き合っている課題とどう付き合うか=本番の結果になります。
最後のレッスンや伴奏合わせの時に言われたことがその課題です。でも、たぶんそれは、習い始めの頃からずっと言われていることではないでしょうか。つまり、究極的には、その課題と永久に付き合い続けることが、演奏を習うということなんでしょうね。
私の今回の講師演奏は、Violin、Violaそれぞれ初心に戻る曲を演奏します。
Violinはヘンデルのソナタ第4番より。
小学生の頃、大学助教授をしていた恩師の元に通い始めてすぐに習った曲で、思うように弾けなくて苦戦したのをはっきり覚えています。今はさすがに当時よりは上手くなってると思います(笑)
恩師は「譜面は財産だから絶対に捨てないこと」とよくおっしゃっていたので、今も当時の譜面を使っています。うちではそれを通称「古文書」と呼んでいて、黄ばんでシミだらけでページの端はボロボロ、先生の書き込みもそのまま残っています。紙の劣化も進んで、消しゴムで消そうとすると紙自体が削れて印刷の音符まで削ってしまいそうなので、うかつに消せま
たしかに譜面は財産でした。将来このように自分の仕事に役立つとは、その当時は知る由もありませんでしたが・・私の先生の書き込みを見ると、今も直っていない欠点とか、自分も教え子に同じ注意をしていることとか、ハッとすることばかりです。過去の遺産なのではなく、私が演奏し続ける間はこの譜面もずっと現役選手であり続けるのですね。最近は色々と校訂された譜面が出回っているので、そういうものと見比べながら、曲そのものを掘り下げる楽しみもありますし。とにかくこの曲ほど私を初心に戻す曲はありません。せん。
Violaではシューマンのおとぎの絵本より。こちらは大学に入ってわりとすぐに弾いた曲です。数少ないヴィオラ作品として重宝がられる曲のひとつですが、シューマンの晩年の作品なので、二十歳かそこらの若輩者にとっては、どう料理して良いものやら見当がつかず、つまらない作品でした。それが10年ほど前から、にわかに彼の音楽に面白さを感じ始め、やっと人前で演奏する勇気が出てきました。しかも、弾くたびにその魅力が増していく感じがして、毎回、新鮮なのです。
しかも私にとっては、それはヴァイオリンではなくヴィオラでないと表せない感覚です。
この曲はヴィオラ業界では定番中の定番なのにも関わらず、うちの受講生で知らない人がけっこういるのにショックを覚えたので、今回取り上げることにしました。皆さん、よーく耳を澄まして聴いてくださいよ。
ところで、シューマンの譜面を買ったのは、ヘンデルの譜面を買ってからわずか10年後くらいですが、保存状態が全く違って黄ばんでもいないし、紙質も劣化していません。二曲とも同じドイツの老舗出版会社です。その会社はもともと(東ドイツ側の)ライプツィヒに本社があり、第二次大戦末期にソビエトの侵攻が迫った際、西ドイツ側に疎開したまま終戦となり、戦後は東西それぞれで経営していたのです。ヘンデルの譜面をよく見てみると、ライプツィヒ版(写真右下の文字)でした。なるほど東側の紙質が良くないわけねー。そんな歴史まで学べる譜面です。